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コラム

ゲーム依存に悩む保護者へ:夜が明けたある家族の物語

2026.08.25

eyecatch

深夜、リビングの隙間から漏れる青白い光。部屋の奥では、ヘッドホンをつけた我が子が、今日も画面の中の世界に没頭しています。隣の部屋で寝返りを打つたびに、親であるあなたの胸には「このままで、この子の将来はどうなるのだろう」という、拭いきれない不安がよぎります。学校には行かず、昼夜逆転の生活。こんな光景に、「ゲーム依存に悩む保護者」であるあなたも、心当たりがあるのではないでしょうか?

お子さんのゲームとの向き合い方に頭を抱え、どうすれば良いのか途方に暮れているかもしれません。しかし、どうかご安心ください。今日お話しするのは、まさにその悩みを乗り越え、再び家族の間に温かい光を取り戻した、あるご家庭の物語です。

親子のすれ違いから始まった、終わらない夜:不登校とゲームの深い関係

「うちの子、どうしてこんなにゲームばかりするんだろう」。
そう思わずにはいられない日々が続いているかもしれません。お子さんがゲームに没頭する姿は、親から見れば「ただの遊びすぎ」や「現実逃避」に映ることもありますよね。しかし、その背景には、子どもなりの複雑な感情や、満たされないニーズが隠されていることが多いのです。

不登校の子どもたちにとって、ゲームの世界は時に「安全な居場所」となります。学校での人間関係のストレス、学業へのプレッシャー、あるいは自己肯定感の低下といった現実の辛さから一時的に逃れ、ゲームの中で達成感や成功体験を得ているのかもしれません。オンラインゲームを通して友達と繋がり、現実では得にくいコミュニケーションを求めているケースも少なくありません。

世界保健機関(WHO)は、2019年に「ゲーム障害」を国際疾病分類「ICD-11」に認定しました。これはゲームへのコントロールが困難になり、他の活動よりもゲームを優先し、生活に重大な悪影響が出ても継続する状態を指します。 しかし、ただゲーム時間が長いというだけで「ゲーム障害」と断定されるわけではありません。東京大学とベネッセ教育総合研究所が2024年1月に発表した共同研究では、小・中・高校生の子どもを持つ保護者の約67%が「うちの子、ゲームしすぎかも?」と不安を感じていることが示されています。 あなたの抱える不安は、決して特別なものではないのです。

「ゲームは浮き輪」親の視点が変わるターニングポイント

子どもがゲームにのめり込んでいるのを見ると、「もうゲームを禁止するしかない」「スマホを取り上げてしまおう」と考えてしまうのも無理はありません。しかし、多くの支援現場や体験談が語るのは、そのような一方的な制限が、かえって逆効果になる可能性が高いということです。無理に取り上げると、子どもは反発し、親子の信頼関係が大きく損なわれることがあります。

愛知県で不登校の居場所を運営する「おこのみ会」の代表は、ゲームを子どもにとっての「浮き輪」と表現しています。水中で溺れそうな時に浮き輪を無理に奪えば、子どもはさらなる不安やストレスに襲われ、別の依存対象を探したり、強い反発を示したりする可能性があるのです。 親御さん自身も、子どものゲーム問題に直面する中で、知らず知らずのうちにストレスを抱え込んでいることがあります。親のストレスが、子どもへの関わりに影響を与えることも指摘されています。

この「ゲームは浮き輪」という視点に立てた時、親子の関係に少しずつ変化が訪れる第一歩となります。子どもを「ゲームのしすぎで困った子」と見るのではなく、「何かを抱えて、今ゲームという浮き輪につかまっている子」として理解しようと努めること。ここが、長い夜を明けるための重要なターニングポイントとなるでしょう。

明るい朝を取り戻すための「安心の橋渡しタイム」

では、具体的に親として何ができるのでしょうか。変化のプロセスを歩んだある家族は、「コントロール」ではなく「理解」を軸にした関わり方で、新たな一歩を踏み出しました。

まず、親子でゲームのルールについて話し合う際、一方的に「1日〇時間まで」と決めるのではなく、「使わない時間を決める」という発想の転換が有効です。例えば、「夜21時以降は使わない」といったルールは、子どもも納得しやすく、守りやすい傾向があります。 これだけでも、昼夜逆転の改善に繋がる可能性が見えてきます。

そして、最も大切なのは、「親子間の安心感」を育むことです。ゲームを巡って険悪な雰囲気になったり、頭ごなしに叱ったりするのではなく、何気ない会話を増やす努力をしてみましょう。 例えば、子どもがゲームをしている時に、そっと隣に座り、「このキャラクター、強いね」「どんなストーリーなの?」と興味を持って質問してみる。共感を示すことで、子どもは「親は自分を理解しようとしてくれている」と感じ、心を開きやすくなります。

これを私たちは「安心の橋渡しタイム」と呼んでいます。ゲーム以外の共通の楽しみを見つけたり、一緒に散歩をしたり、子どもの興味のあることについて雑談をしたりする時間です。 「ゲーム以外にやることがない」と感じている子どもにとって、新しい「浮き輪」の候補を増やすことにも繋がります。

時には、設定したゲームの制限を緩めたときに、一時的に子どもの行動が荒れたり、ゲーム時間が増えたりすることがあります。しかし、これは「悪化」ではなく、禁止されていたものが自由になったときに起こる「脳の正常な反動」であることが、専門家によって指摘されています。むしろ、これは「回復の入り口」であり、子どもが自分で調整する力を育み始めているサインと捉えることができます。 この時期に親が否定せず、責めずに子どもの気持ちを受け止めることが、大きな変化への鍵となります。

専門家と手を取り合って:一歩先の未来へ

ご家庭での関わりだけではどうにもならない、と感じることもあるでしょう。そんな時は、迷わず専門機関のサポートを求めることが大切です。ゲームによって生活リズムが大きく乱れる、学業や日常生活に深刻な支障が出ているといった場合は、医療機関や相談機関への相談を検討しましょう。

私たちは医療的な診断を行うことはできませんが、お子さんの背景にある「生きづらさ」に寄り添い、ゲーム以外の世界にも目を向けられるような教育的支援を提供しています。 eスポーツを通して社会性を育んだり、新しい学びの場を見つけたりすることも、回復への大切な一歩となるでしょう。

コントロールから理解へ:急がず、寄り添うことの価値

かつてゲーム漬けの生活を送っていたあの子は、今では家族と一緒に食卓を囲み、時折、笑顔で学校での出来事を話してくれます。ゲームをする時間はまだあるけれど、決してそれだけではなく、様々なことに興味を持ち、自ら行動する姿が見られるようになりました。

この変化は、一夜にして起こったわけではありません。焦る親が、まず「コントロール」を手放し、「理解」へと舵を切ったことから始まりました。子どもを「ゲームをやめさせるべき対象」ではなく、「苦しんでいる我が子」として見つめ直し、その心に寄り添い続けた結果です。

あなたの家族の夜明けも、きっと訪れます。急がなくても大丈夫。今日から、少しだけお子さんの心に耳を傾けることから始めてみませんか。きっと、その小さな一歩が、朝日に照らされた新しい日への道となるでしょう。

出典

本記事は、以下の記事で扱われていたテーマを参考に、とびらの向こうの視点で独自に構成したものです。

ベネッセ教育情報, 不登校新聞, キズキ共育塾, note(おこのみ会), ガンホー・オンライン・エンターテイメント, スララ, ヘリコ, 埼玉県, 淀屋橋心理療法センター, パステル総研, コクリコ|講談社, メンタルヘルスのぜんと, 大石クリニック, ダイヤモンド・オンライン, nobico(のびこ), CoCon, スダチ, HugKum(はぐくむ), 不登校解決のトーコ

よくある質問

Q. ゲームばかりで昼夜逆転しています。どうすればやめさせられますか?

A. 一方的にゲームを禁止するのではなく、まずお子さんがなぜゲームに没頭するのか理解することが大切です。親子で「使わない時間」を決めるなど、一緒にルールを見直すことから始めましょう。無理な取り上げは逆効果になることが多いです。

Q. ゲームを取り上げたら、もっとひどく反発します。どうしたらいいでしょうか?

A. ゲームを奪うことは、子どもにとって心の拠り所を失う行為となり、強い反発を招きやすいです。これは「脳の正常な反動」とも言われます。まずは親子の信頼関係を築き直し、子どもの気持ちに寄り添う関わり方を心がけましょう。

Q. ゲームは子供にとって本当に悪いものなのでしょうか?

A. ゲーム自体が全て悪いわけではありません。コミュニケーションツールになったり、達成感を得られるなど、良い側面もあります。しかし、生活に支障が出るほど依存状態になる場合は、心身に悪影響を及ぼす可能性があります。

Q. いつから専門機関に相談すべきですか?

A. ゲームによって昼夜逆転が続き、学業や日常生活に深刻な影響が出ている、あるいは家庭での関わりだけでは難しいと感じる場合は、早めに医療機関や専門の相談機関へ相談を検討しましょう。

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