不登校の昼夜逆転は「怠け」じゃない。親ができる生活リズムの整え方
夜中の2時。子ども部屋から、コントローラーのカチカチという音が聞こえる。
朝、何度声をかけても起きてこない。起きてくるのはお昼過ぎ。「このままで大丈夫なのか」と思いながら、今日もまた同じ一日が始まる。
不登校の子の昼夜逆転は、とてもよくある悩みです。そして先に言っておくと、多くの場合、それは「怠け」ではありません。
昼夜逆転が起きる、4つの理由
1. 朝起きる「理由」がなくなる
学校は、決まった時間に起きて出かける、という強いリズムをつくってくれていました。それがなくなると、体の時計は少しずつ後ろにずれていきます。大人も、長い休みのあとに朝がつらくなるのと同じです。
2. 夜のほうが「安心」できる
昼間は、みんなが学校や仕事に行っている時間です。学校に行けていない罪悪感や、家族の視線、外から聞こえる登校の声。子どもにとって昼は、落ち着かない時間になりがちです。家族が寝静まった夜は、誰にも何も言われない。夜型になるのは、心が安心できる時間を選んでいるとも言えます。
3. 画面の光で、脳が目を覚ます
寝る直前までスマホやゲームの画面を見ていると、脳が「まだ昼だ」と勘違いして、眠くなりにくくなります。オンラインのゲームは「きりのいいところ」が来にくいので、気づけば夜中、ということも起きやすくなります。
4. 思春期は、もともと夜型になりやすい
思春期の子どもは、体のしくみとして、大人より眠くなる時間が遅くなりやすいことが知られています。学校がなくなると、その傾向がそのまま表に出てきます。
どれも、本人の「やる気」だけではどうにもならないことです。だからこそ、「早く寝なさい」「起きなさい」と叱るだけでは、なかなか変わりません。
「直さなきゃ」を、いったん置く
親が焦るほど、その焦りは子どもに伝わります。まずは「今は、心を守るためにこの生活になっている」と受け止めるところから始めてください。
昼夜逆転を「直す」ことより先に、家が安心できる場所であること。その土台があって初めて、子どもは自分から少しずつ動き出せます。
家庭でできる、ゆるやかな整え方
朝:起きる時間だけ、15分ずつ
- 寝る時間ではなく、起きる時間から:「早く寝なさい」より、「明日は今日より15分だけ早く起きてみよう」のほうが続きます。できたら、その日のうちに「起きられたね」と言葉にしてください。
- 起きたら、まず光:カーテンを開けて、朝の光を部屋に入れる。できればベランダで数分、外の空気を吸う。光は体の時計を合わせるいちばんのスイッチです。
- 何時に起きても「おはよう」:お昼過ぎに起きてきても、責める代わりに「おはよう」。温かい飲み物や、一口で食べられるものを用意しておくのもおすすめです。
昼:小さな「楽しい」を1つ
- 家の中でできることから:一緒に料理をする、好きな映画を見る、少しだけ散歩に行く。昼間に「楽しい」が1つあると、夜に眠くなりやすくなります。
- ゲームを「起きる理由」にする:「夕方に友だちとボイスチャットする」「朝の大会配信を見る」など、ゲームの予定を昼の時間に置くのも一つの手です。
- ごはんの時間を「錨(いかり)」に:会話が少なくても、家族で同じ時間にごはんを食べる。それだけで、一日のリズムに目印ができます。
夜:画面を置く時間を、家族で
- 「何時からは画面を置く」を一緒に決める:いきなり「寝る2時間前から禁止」は難しいので、最初は30分前からでも十分です。
- 親も一緒に置く:子どもにだけ我慢させない。家族みんなの「夜の静かな時間」にすると、受け入れられやすくなります。
- ゆっくりお風呂:寝る1〜2時間前に湯船につかると、そのあと自然に眠くなりやすくなります。
こんなときは、病院や相談窓口へ
次のような様子が続いているときは、家庭だけで抱えずに相談してください。
- 朝、どうしても体が動かない。立ちくらみ、頭痛、腹痛が続く
- 眠ろうとしても眠れない日が続く
- 気分の落ち込みや不安が強い
まずは、かかりつけの小児科に相談してください。「起立性調節障害」のように、体の不調で朝起きられないこともあります。学校のスクールカウンセラーや、自治体の教育支援センターも相談先になります。
親の「給油」も忘れずに
子どもの生活に合わせて、親まで夜更かしになっていませんか。親が倒れてしまっては元も子もありません。話を聞いてもらえる人をつくる、自分の時間を少しだけ取る。それも立派な「整え方」の一つです。
急がなくていい
昼夜逆転は、一晩では戻りません。15分ずつ、行ったり来たりしながら、少しずつです。
いつか、お昼過ぎではなく午前中に「おはよう」と言える朝が来る。カーテンの隙間から入る光が、その日の合図になります。
ゲームへの向き合い方は「不登校でゲームばかり」のわが子と、どう向き合う?に、学校に行きづらい子の居場所についてはアリーナスクールのページにまとめています。


