「不登校でゲームばかり」のわが子と、どう向き合う? 取り上げる前に親ができること【奈良・生駒】
「いつまでゲームしてるの?」
そう言いかけて、飲みこんだ夜はありませんか。学校に行っていないのに、朝から晩までゲームとスマホ。このままで大丈夫なのか。叱ったほうがいいのか、見守ったほうがいいのか。答えが見つからないまま、今日も画面の光だけがリビングに残る。
先に、ひとつだけ伝えさせてください。あなただけではありません。文部科学省の調査では、2024年度に学校を30日以上休んだ小中学生は35万3,970人。過去最多です(文部科学省:令和6年度 児童生徒の問題行動・不登校等調査)。そして多くの家庭で、同じように「ゲームとどう付き合うか」が悩みになっています。
ゲームが大の苦手な父親が、画面の向こうで見たもの
少しだけ、私の話をさせてください。私は学生時代ずっとサッカー部で、ゲームは大の苦手でした。息子がポケモン、マインクラフト、フォートナイトにはまったときも、正直「ゲームばかりして」と思っていた側です。
ところが息子と一緒に出た親子のフォートナイト大会で、私は惨敗しました。そのとき見た息子は、作戦を考え、仲間に声をかけ、負けたら黙って練習していた。サッカーで教わったことと、何も変わりませんでした。
いま私は、奈良県生駒市の商店街で、子どものeスポーツ大会「街じゅうアリーナ」を開いています。そこで毎回思うのは、ゲームに夢中な子の多くは、何かから逃げているのではなく、何かを取り戻そうとしているということです。
子どもがゲームに向かう、3つの理由
1. 心を休める「避難所」
学校に行けない罪悪感、人間関係の疲れ、「みんなと同じようにできない自分」へのもやもや。ゲームの中にいる間は、それを少し忘れられます。大人がお酒や趣味で一息つくのと、根っこは同じです。
2. 「できた」と思える場所
ゲームは、がんばった分だけ結果がはっきり返ってきます。レベルが上がる、ランクが上がる、ビクロイ(1位)を取る。学校で失いかけた「自分にもできる」という感覚を、ゲームの中で拾い直している子は少なくありません。
3. 友だちとの「つながり」
オンラインのゲームは、今の子どもたちにとって放課後の公園のようなものです。学校に行っていなくても、ゲームの中なら友だちと話せる。それが唯一のつながりになっている子もいます。
取り上げる前に、知っておいてほしいこと
「いっそ取り上げてしまおう」。そう考えるのは、子どもを本気で心配しているからです。ただ、上の3つを思い出してください。ゲームが避難所であり、自信の源であり、友だちとのつながりでもあるなら、急に取り上げることは、その3つを一度に奪うことになります。
その結果、親子の信頼が崩れたり、かえって部屋にこもってしまったりすることがあります。取り上げるかどうかを決める前に、次の3つを試してみてください。
親ができる3つのこと
1. 叱る前に、質問する
最初の一歩は、ゲームのことを聞いてみることです。
- 「そのゲーム、どこがおもしろいの?」
- 「いつも誰と遊んでるの?」
- 「いちばんうれしかったのは、どんなとき?」
答えがそっけなくても大丈夫です。「親が自分の好きなものを知ろうとしてくれた」という事実が、少しずつ効いてきます。ゲームの名前やキャラクターを1つ覚えるだけでも、会話の糸口が変わります。
2. ルールは「一緒に」決める。時間より「使わない時間」を
親が一方的に決めたルールは、たいてい守られません。子どもを交えて、話し合って決めてください。コツは3つあります。
- 「使わない時間・場所」を決める:「1日2時間まで」より、「夜10時からは使わない」「寝室には持ち込まない」のほうが、はっきりしていて守りやすい。
- まずは1つだけ:いきなり全部を変えようとしない。守れたら「守れたね」と言葉にする。
- 親も守る:夜はスマホを置く。食事中は見ない。子どもだけに我慢させないことが、いちばんの説得力になります。
ルールは一度決めたら終わりではありません。守れなかったときは、責める代わりに「どうしたら守れそう?」と一緒に見直してください。
3. ゲームの「外」に、小さな種をまく
ゲームをやめさせるのではなく、ゲーム以外の「楽しい」を少しずつ増やしていきます。一緒に料理をする、散歩に誘う、好きな動画を一緒に見る。すぐに乗ってこなくても、種をまいておくことに意味があります。
もうひとつの道は、ゲームの「好き」を、そのまま外につなげることです。同じゲームが好きな仲間と、大人が見守る場所で遊ぶ。チームで作戦を立て、終わったら振り返る。そうした場では、ゲームが「ただの遊び」から「練習」や「学び」に変わっていきます。
こんなときは、一人で抱えずに相談を
やめたくてもやめられない、食事や睡眠よりゲームを優先する、困ったことが起きてもやめられない。そんな状態が続いているときは、家族だけで抱えず、かかりつけの小児科や、お住まいの地域の精神保健福祉センターに相談してください。家族だけで相談できる窓口もあります。
「依存かもしれない」と心配な方は、「ゲーム依存かも」と心配な保護者へも読んでみてください。昼夜逆転に悩んでいる方は、不登校の昼夜逆転は「怠け」じゃないにまとめています。
親も、休んでいい
子どものことで頭がいっぱいになると、親の心もすり減っていきます。配偶者や友人に話す、同じ悩みを持つ親とつながる、自分のための時間を少しだけ取る。親が少し笑えるようになると、それは家の空気として子どもに伝わります。
コントロールより、理解を
ゲームばかりのわが子は、もしかしたら今、画面の中で必死にエネルギーをためているのかもしれません。すぐに変わらなくても大丈夫です。
今夜、リビングを横切るときに、ひとつだけ聞いてみてください。「それ、どんなゲーム?」。画面の光の向こうで、子どもが少しだけ振り返るかもしれません。
生駒市とその周辺で、子どもの「ゲームが好き」を仲間や学びにつなげる場をつくっています。街じゅうアリーナ(参加無料の大会)、アリーナスクール、学校に行きづらい子のためのオンラインフリースクールもあわせてご覧ください。


