「ゲーム依存かも」と心配な保護者へ:相談の目安と、責めない関わり方
「うちの子、ゲーム依存なんじゃないか」
夜中まで続くゲームの音。声をかけても返事がない。取り上げようとすると、ものすごい勢いで怒る。そんな姿を見て、そう思ったことがあるかもしれません。
この記事では、心配になったときに知っておきたい「相談の目安」と、家庭でできる「責めない関わり方」をまとめました。先にお伝えしておくと、私たち合同会社とびらの向こうは医療機関ではありません。診断はできません。だからこそ、どこからは専門の窓口に相談したほうがいいかを、はっきり書いておきます。
「ゲーム障害」とは、どんな状態?
世界保健機関(WHO)は、国際的な病気の分類(ICD-11)に「ゲーム障害」を加えています。目安になるのは、次のような状態です。
- ゲームをする時間や、やめるタイミングを自分でコントロールできない
- 食事、睡眠、勉強、人づきあいより、ゲームを優先するようになっている
- 生活に困ったことが起きていても、ゲームをやめられない、むしろ増えている
こうした状態が続き(目安として1年ほど)、生活に大きな支障が出ている場合に、ゲーム障害と考えられます。
大事なのは、プレイ時間の長さだけでは決まらないということです。長い時間遊んでいても、自分で切り上げられて、ごはんも食べて、友だちとも話せているなら、それは「好きなことに夢中」なだけかもしれません。
相談したほうがいいサイン
次のようなことが続いているときは、家庭だけで抱えずに相談を考えてください。
- ゲームを止めようとすると、物を壊す、手が出るなど、暴力的になる
- ごはんを食べない、お風呂に入らない日が続く
- 眠れない、または昼夜が逆転したまま、体の不調が続いている
- 課金が止まらない、親のお金を持ち出す
- 以前好きだったことに、まったく興味を示さなくなった
- 気分の落ち込み、不安、「消えたい」などの言葉がある
最後の項目のように、心の不調のサインがあるときは、ゲームのことより先に、すぐに相談してください。
家庭でできる、責めない関わり方
心配なサインがあってもなくても、家庭でできることがあります。ポイントは「コントロール」より「理解」です。
1. まず、話を聞く
「いい加減にしなさい」と言いたくなる気持ちを、一度だけ飲みこんでみてください。代わりに、「そのゲームの何が楽しいの?」「誰とやってるの?」と聞いてみる。
ゲームが学校のしんどさからの避難所になっている子も、ゲームの中にしか友だちがいない子もいます。「ゲームの中だと安心できるんだね」と、気持ちを言葉にして受け止めるだけで、話してくれることが増えていきます。
2. 小さな「できた」を言葉にする
「今日はいつもより早く切り上げたね」「ごはんのとき、来てくれたね」。どんなに小さなことでも、できたことを見つけて伝えてください。叱られ続けている子は、「どうせ自分は」と思いこんでいることが多いからです。
3. ルールは家族会議で
一方的な禁止や、急な取り上げは、たいてい強い反発を生みます。子どもも入れて「どんなルールなら守れそう?」と話し合ってください。
- 「夜〇時からは使わない」「充電はリビングで」のように、使わない時間と場所を決める
- 課金は「月いくらまで」「親に言ってから」を決めておく
- 守れなかったときの約束も、先に一緒に決めておく
4. 親も、画面から離れる時間を
子どもにだけ我慢させて、親はスマホを見ている。そう感じると、子どもは納得しません。夕食の時間や寝る前だけでも、家族みんなで画面を置く時間をつくってみてください。
5. ゲームの外にも「居場所」を
ゲームを取り上げて空いた穴は、何かで埋まるとは限りません。大切なのは、ゲーム以外にも「ここにいていい」と思える場所や人が増えていくことです。家族との時間、習い事、同じ趣味の仲間と大人が見守る場所。居場所が増えるほど、ゲームだけに頼る必要は減っていきます。
相談先
- かかりつけの小児科:まずはここから。必要に応じて専門の医療機関を紹介してもらえます。
- 児童精神科・心療内科:ネットやゲームの依存を専門に診る外来もあります。
- 精神保健福祉センター:各都道府県にある公的な相談窓口です。依存の相談を受けていて、子ども本人が来られなくても、家族だけで相談できることがあります。
- 学校のスクールカウンセラー、自治体の教育相談:学校との連携や、地域の支援先を教えてもらえます。
相談することは、あきらめでも、親の失格でもありません。早めに相談するほど、選べる道は増えます。
急がなくていい。でも、一人で抱えなくていい
ゲームに夢中なわが子を前にすると、「今すぐ何とかしなければ」と思ってしまいます。でも、変化はたいてい、ゆっくりやってきます。
今日できることは、一つでいい。ゲームの話を一つ聞く。できたことを一つ伝える。それでも心配が消えないときは、この記事の相談先に電話を一本。それが、閉じかけたとびらを開く最初の一歩です。
ゲームとの向き合い方全体については「不登校でゲームばかり」のわが子と、どう向き合う?に、昼夜逆転については不登校の昼夜逆転は「怠け」じゃないにまとめています。


