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子育て・ゲーム2026.09.03読了 約4分

「ゲームは悪」と言っていた父が、夜中にこっそりマインクラフトを始めた話

「ゲームは悪」と言っていた父が、夜中にこっそりマインクラフトを始めた話

「パパ、それ、とうふハウスだよ」

息子が、僕の画面をのぞきこんで笑った。
四角くて、窓もない、ただの箱。
僕が三晩かけて建てた、はじめての家だ。

これは、ゲームをまったくしなかった父親が、
息子と遊ぶためにゲームを始めた話。
連載「ゲームをしなかった父の、ゲーム入門」第1話です。

僕は「止める側」の大人だった

奈良県生駒市で暮らす、ごくふつうの父親です。
学生時代は、ずっとサッカー部。
ゲームは、正直、大の苦手だった。

息子がポケモンにはまり、マインクラフトにはまり、フォートナイトにはまっていく。
そのたびに僕は、こう言っていた。

「もう、いい加減にしなさい」

テレビをつければ「ゲーム依存」。
ネットを開けば「言葉づかいが悪くなる」「暴力的になる」。
だから止める。親として、それが正しいと思っていた。

でも、息子は毎日のように言ってくる。

「パパ、一緒にやろうよ」

断る。また誘われる。また断る。

……ふと思った。
僕は、このゲームの何を知っているんだろう。

子どもが寝たあと、こっそりマインクラフトを始めた

ある夜。息子が寝たのを確かめてから、
リビングのSwitchを、そっと手に取った。

息子に教わるのは、なんだか悔しい。
だから、こっそり。調査のつもりだった。

マインクラフトを起動する。
草原に、ぽつんと立っている。
説明は、ない。

木を殴る。
なぜか、木が取れる。
なぜ殴るのかは、わからない。

そうこうしているうちに、空が暗くなる。
どこからか、うめき声。ゾンビだ。

あわてて地面に穴を掘って、ふたをして、朝まで待った。
画面の中で、じっと。
現実の時計は、深夜1時を回っていた。

いい年をした父親が、真夜中のリビングで、穴にこもっている。
冷静に考えると、かなりおかしい。

マイクラは「順番」を考えるゲームだった

次の夜も、その次の夜も、こっそり起動した。

木から板ができる。板から作業台ができる。
作業台から、つるはしができる。

「あ、これ、順番があるのか」

何かを作るには、その前に何かが要る。
それを知らないと、先に進めない。
しかも、誰も教えてくれない。自分で試すしかない。

正直に言うと、ちょっとおもしろかった。
いや、かなり。

そして三晩目。
ようやく、家らしきものが建った。
四角くて、窓がなくて、ドアだけの家。

調査のつもりが、マイクラで息子に弟子入りしていた

翌朝、僕は、自分から息子に聞いていた。

「なあ、家って、どうやったらカッコよくなるの?」

息子は一瞬きょとんとして、
それから、ものすごくうれしそうな顔をした。

「パパ、それ、とうふハウスだよ」
「屋根は、階段ブロックで作るの」
「窓はガラス。砂を焼いたらできるよ」

止まらない。
ふだん、学校のことを聞いても「ふつう」しか言わない息子が、止まらない。

そのとき、気づいた。

僕はずっと、息子に何かを「教える側」だと思っていた。
でも、この世界では、息子が先生で、僕が弟子だった。

そして息子は、先生になれたことが、うれしかったんだと思う。

「ゲームは悪い」は、やってから言えばいい

念のため書いておくと、ゲームに心配なところがないとは思っていない。
夜ふかしも、課金も、言葉づかいも、気にかけるべきことはある。
そこは、このあとの回でちゃんと書きます。

ただ、ひとつだけ言えるのは、
僕は、やってもいないものを「悪い」と言っていたということ。

止めるのは、いつでもできる。
でも、子どもの好きな世界をのぞけるのは、子どもが「一緒にやろう」と言ってくれるうちだけかもしれない。

もし今夜、お子さんが寝たあとに、少しだけ時間があったら。
こっそり、電源を入れてみてください。

朝になったら、家の建て方を聞いてみる。
たぶん、先生は、すぐそこにいます。

生駒の街を、マインクラフトでつくっています

あの夜、とうふハウスしか建てられなかった僕は、いま、生駒の子どもたちと一緒にマインクラフトで街をつくっています。

この夏は、地元の小中学生が自分のSwitchを持ち寄って、8日間で生駒市役所をゼロから再現しました。

そのワールドは、いまもアリーナスクールで毎週広がっています。平日は、家にあるSwitchから、みんなと同じワールドへ。次は、生駒駅と商店街をつくる予定です。

ひとりで遊んでいたマイクラが、「仲間と一緒につくるもの」に変わる場所です。

→ 8日間の記録「生駒市役所を創る」を読む
→ 奈良・生駒のアリーナスクールを見る

次回は、マイクラの次に飛びこんだフォートナイト。「危ないゲーム」を調べに行った父が、3秒で倒された話です。
→ 第2話を読む

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